目標達成は簡単そうだからではなく、難しいからこそ追求しよう! 大失敗を恐れない者だけが、偉大な事を成し遂げる。

2015年4月5日日曜日

コンクリート金

通常の日本人なら次の話を聞くと涙もろくなるかもしれない。日本と違って西欧にはここ25年にも普通の経済成長が途中であってもなくても、ともかく一般的なインフレは毎年あった。1980年以降に生まれた読者の為に換言しよう。世界どこに行っても経済成長さえあれば、毎年必ず賃上げがあると同時に物価も上がる。日本も戦後こんな健全な成長ぶりがなかったら、今の様な、何十万単位で払われる給料がなかっただろう。例えば1960年の国家公務員の初任給は高々の12.900円に過ぎなかったことでそれが十分に明確になるだろう。
でも今日の話は直接年収には関わらない。どちかというと、「コンクリート金」の事だ。「コンクリート金」、へ?、何だそっりゃと多くの方は思うだろうが、ドイツでは、実物の金塊に並んで,
金と同じ様な残存価値を持っているのが不動産だと言われる。ドイツでも少子化や高齢化の社会問題は深刻。特にドイツ東部の超田舎、でも西部のある地域にも若者がドンドン住みたくなくなる傾向があるから、それらの地域での不動産の価値は需要の無さだけで下がりつつある。但し、人口密度の高い地域、特に都会の周りの郊外の状況は違う。

ドイツの典型的な一軒家、3軒。一軒分は左の青く塗ってある様な物
ケルン郊外に住んでいる、82歳である僕の叔母さんは老人施設に引っ越す理由で、上記の写真に出ている様な、自分の一軒家を売った。買ったのが1967年、48年前。最新版の防寒材も無い、窓もドアーもちょっと古臭い、それに来年中にセントラルヒーティングを取り換えないと駄目だと市に命じられている。あと、建築的にあくまでも60年代の古っぽいスタイルなので、僕だったら絶対住みたくない。いずれにせよ、買う人はあの一軒家を少しでも最新の技術と基準に合わせる為に約7百万円位を改装工事追加予算として計算に入れた方がいい。

それなのに、あの一軒家は昨日、一日だけで、22.9万ユーロ(約3000万円)で売られた。因みに買った時の値段は10万マルク(約666万円)だった。ちょっと計算する為に次のを前提としてして置こう。昔の為替レートを今のと比べるのが困難。それに、ローンは無論とっくに払い終わった。だが、もしも当時のローンを30年契約ではなく、例えば50年契約にしたとすれば、当時の借金の「赤い線」が今の時代までに繋がっているから、当時と今の比較はそれで何よりもしたくなるだろう。結果的に、当時掛かった価格の4.5倍で家が今売れたということになる。

買った人は取り壊すつもりも勿論ない。あの地域の家々はみんな同じ時に作られたからスタイルもみんな同じで、取り壊して全く違う建築の家をそこに建設するのに市から絶体と言っていい程許可が出ない。いや、彼はあれを現金で払って(!)、今12歳である息子の為に買ったそうだ。息子さんはあれで喜ぶかどうかが分からないが、ちゃんと手入れをし、今から10年とか15年後にまた売ろうと思えば、更にまた何十%のマークアップを付けて売れるかもしれない・・・

15年ぐらい前に金塊を買えば、今なら4,5倍の値段で売れるだろう。ドイツでは良い地域だと、あんな短い期間で4,5倍にならなくても、何十%位の利益を付けることは不動産を持つことによってそれでも可能。だからドイツでは不動産は「コンクリート金」だと言われるのが今週の日曜日の教訓です・・・。

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5 件のコメント:

  1. はぁぁぁ~(タメイキ)
    バブル最盛期は不動産価格が急上昇し
    「今買わないと一生手が出なくなる」とか「不動産の価値は上がり続けるから、早く買った方が得」などと言われましたよね。
    金利は年率8%・・・そんな時期もありましたね。
    うちもその頃に・・・マイホームを購入しましたよ~
    あれから日本の不動産は底打ちし、上昇に転じる気配があるのでしょうか?(涙)

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  2. 日本なんて、建物の価値なんて30年もすればゼロだよね。取り壊し費用が掛かるから、土地代から200から300万円ひかれて売買するね。作るほうもどうせ30年したら取り壊すんだから」と言って、安普請の家を作るね。日本は、建築自由の原則が支配していて、紫色の家を作ろうと、京都のお寺の隣にイタリア風のオレンジ色の屋根の家を作ろうと、建築基準法に引っかからなければ、全く問題ないね。だから建築家は競って、奇抜な家を設計して、施主を喜ばそうとするんだね。最近では(といっても少し古くなるけど)、その建築基準法も緩和されて、工業地域にマンションが建ったり、低層住宅の地域に何十階の高層マンションができたりして、さらには、ゆったりした敷地の家は、住んでる人が死んだりすると、3階建ての木造住宅が3軒も建ったりして。江戸時代の長屋だね。これは。電線もますますこんがらかって、日本の住宅政策なんて全くなくて、不動産屋や土建屋が儲かるように社会全体ができているんだよね。お金のない人も一戸建てをほしがるから、ますます土地は細分化されているね。町に緑はなくなり、ゆとりもなくなり、これが日本だね。別にドイツやヨーロッパやアメリカをうらやましいとも思わないけど、これで地震が起きたらどうするのでしょうね。

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  3. 日本では過去25年の間、土地・不動産の値段が下がり続けていますから、仰る通り、西欧とは反対の現象が起きています。 私の場合は、1980年に建てられた75㎡の中古住宅を2005年に買いました。 最初は2800万円した物件でしたが、かなり値下がりした1100万円の値段で買えました。 1990年ころには最も値上がりしていて、4000万円くらいしていたそうです。

    勿論、築35年の家なので、全ての部屋、および、内装、外装、ガス・水道・電気まわりを全て一度は修理しており、今後もあちこちの補修が必要になります。 古い家なので仕方ありません。

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  4. ちょっとした長屋風は、日本だけでなくドイツにもあるのね。。。
    この例では、住まい自体の価値よりも、この場所に住む「権利」にお金がついたような感じかな。

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  5. youtubeとかで、外国から来た方が日本の街がきれいだと言うが、私は街並みとしてはきれいだとは思わない。皆が好き勝手な家を建てている(地中海風?和風?モダン?黒い瓦に赤い瓦に青い河原に。。。、コンクリート造あり、木造あり、新しい家あり、みすぼらしい古い家あり)ので、非常にごちゃごちゃしている。ドイツとかはさすがに街並みが統一されていて美しい。
    日本でも昔の街並み、大内宿とか奈良井宿、馬籠宿、高山、白川郷が美しいのは、ある程度街並みが統一されているからなんだよね。

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