目標達成は簡単そうだからではなく、難しいからこそ追求しよう! 大失敗を恐れない者だけが、偉大な事を成し遂げる。

2015年4月10日金曜日

愛をこめて

朝2時に起きて、3時に会社に着いても遅いぐらい。職場はかなり臭うし熱い。小麦粉が部屋中ずっと漂っており、息しにくい。よりによって重労働とも呼べるこの職業の給料も低い。友達が休んでいる時に自分が働かないと駄目だし、自分が遊びたい時に友達は仕事している。


少子化社会の問題が続々と深刻になるドイツでは特にパン屋さんは企業を畳んでも跡継ぎが見つからない。それにパン屋さんになりたい人もなかなか現れてこない。か、応募してくる人はろくでなし。こんなきつい仕事をやるよりも、もっと楽で給料体制のいい仕事をやった方がいいと思っている人は大半を占めている。

うちの村(人口約12000人)で唯一生き残っている「本当の」パン屋
我々一般人が言う「本物の、本当のパン屋」は益々無くなりつつある。「本物のパン屋」の定義は何か?そこで逆に「本物のパン屋ではない」所を説明した方がいい。そんな所は工場でパンを作ってもらっているだけなので、「本物のパン屋」ではないと言う。あんな所のパンはあくまでも産業的に作られている「製品」、「食品」であり、僕にとって「パン」とは言えない。それは厳しい判断なのか?厳しくてもいい!ああいう工場では保存料、着色料、甘味料、アロマ、味の素、その他数え切れないほど沢山の添加物が生産過程で使われている(因みに、「生産過程」と聞くだけで僕は食べたくなくなる)。それに一つ大事で特別な成分もその過程に一切絡んでいない:愛。

みんなが実際にここの裏で作られた、絶体に・・・
「本物のパン屋」では、このパン屋を所有しているマイスター(師匠)とその従業員達が自分で上記で説明した苦労を担いで、お客さんの為にパン、ケーキ、お菓子各種を作る。作ってくれているオーナーもお客さんみんなが知ってるし、常連は割引券までも付与される。

ロールパン各種も置いてある
言うまでもなく、ここ「本物のパン屋」のパンの方が新鮮である代わりに、上記の「工場パン」よりもずっと高い。でも、味の差は著しい。工場パンはゴムなら、ここのパンは特級の寿司と言えるかもしれない。この比喩は通じるかな・・・

こんな類のパンをスーパーで買ったら2ユーロぐらいしかしないかな。うちのパン屋では6ユーロぐらい・・・
忘れる前に言っておこう。そのいわゆる「本物のパン屋ではない」という事を見抜くのが時々困難である。スーパー自体で売られている物は無論みんな工場の物。スーパーの入口に設置してある幾つかの売店の中での「パン売店」にも無論販売員がいるが、マイスターは直径5キロ範囲にいない可能性は100%。あと街角でここ25年で感染病の様に流行っているパン屋チェーン店も100%工場のパンしか売っていない。そこでの店員達はパンを温めているから作っている様に見えても、それはあくまでも既成の物を温めるだけで、「作る」過程とは何ら関係もない。なので、見つけた店の裏にはマイスターがいるかいないかは訊ねるしかない。

パンの他に、愛をこめてお菓子に近い様な物も作ってくれてる
非常に残念なことで、「本物のパン屋」は益々消えていく。1950年代にはドイツ西部だけでまだまだ55000店があったが、それは現在の14000店まで減った。そして、2020年までに更に6000店が跡継ぎを見つからない理由で店を畳む見通しがある。

ヤッミーヤッミー、両方共がカロリー爆弾、「腰の浮き輪」を作ってくれる物が多い(笑)
本物のパン屋がドイツからこれだけ消えていったら、文化の大事な成分が死んでいく。文化自体が部分的にしなり、面白くなくなって、絶滅していく。僕は自分だけができる範囲で、うちの村のパン屋さんをこれからも応援する・・・。

ところで、ビデオ・レポルタージュの枠内でここのオーナーとその職場を(無論、夜中に)今年中に日本の皆様に紹介する予定がある・・・お楽しみに・・・

あっ、これも忘れる前に。デュッセルドルフ近辺に住んでいる方々宛てに:ここのパン屋の住所は「Meerbusch-Osterath, Strümper Straße 60」です。行く時に、建物の外側、つまり歩道までにお客さんが並んでいる事が遠くから見えてきたら、本場です・・・

皆さん、スポンサー(アマゾン)の下記の情報もお見逃しなく・・・




8 件のコメント:

  1. ドイツの食文化も消えつつあるなんて非常に残念です。
    ドイツ人の遺伝子も消える、ドイツ文化も消える。

    いったい、何が残るんでしょうか?

    将来、残るのはトルコ文化だけかな?

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  2. 悲しい。。。
    日本も同じような事がおきている。

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  3. 個人的には、必ずしも工場で作ったパンが悪いとは思いませんね。
    良い材料で正確な手順で作れば、工場でも小さな個人のパン屋さんと同じものが出来るはずです。 それに、個人のパン屋さんでも調理用の機械はいろいろ使っているでしょう?

    あくまで憶測ですが 「本物のパン屋」で6ユーロするパンと同じ高品質のパンを工場で作れば、
    6ユーロより安くできる(例えば4ユーロ)でしょうが、皆がそのパンを買うかのというと、
    やはり、2ユーロのパンの方が安いので沢山売れるのではないでしょうか。

    日本では、豆腐なども工場で高品質の製品が作られています。 産業化が悪いという考えは
    ここでは全く成り立ちません。 ただ、高品質の値段の高い豆腐は一部の人しか買いません。

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    1. 同感です。
      時代の流れとともに、変えて行く必要があるものと、変えてはいけないものがあると思いますね。

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  4. 伝統的なヨーロッパのパン屋さんは
     日本人の憧れですよ!

     日本ではおいしいパン屋さんたくさんありますよ

     ドイツでは、少なくなってるのは 寂しいことです

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  5. ビールと同じように、パンも法律で定めては?小麦と水とイーストで作るのがパンだってね。
    日本では、youtubeで外国から来た方(著名なyoutubeブロガー)が、「日本のパンって美味しい」とか言っていたが、それは日本人とってはうれしいコメントかも知れないが、そのパンって。。。。添加物にイーストフードとか、あれこれあるやつでは?。。。と思ったりする。

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    1. 中央ヨーロッパでは黒パン(Schwarzbrot 又は ライ麦パン Roggenbrot)も食べます。
      黒パンはライ麦と水とイーストで作られています。 (小麦を混ぜる場合もある。)
      黒パンは穀物の濃い味がして、私はとても好きです。

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  6. パン、ビール、ソーセージ。ドイツの文化です。頑なに守って欲しい。

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