目標達成は簡単そうだからではなく、難しいからこそ追求しよう! 大失敗を恐れない者だけが、偉大な事を成し遂げる。

2013年8月9日金曜日

自民党の「重点政策2012」に対してのエッセー、第二巻

二日前の第一巻に続いて、自民党の重点政策2012に対してのエッセーの、第二巻を発表します:


経済を、取り戻す

   この項目では早速幾つかの点が気になる。
その一つは「日本経済再生本部を新たな司令塔」として創立するつもりだということ。
これを読んだら、実は二つの、戻ってきて欲しくなかった思い出が甦る。一つは、冒頭にも指摘した、バブルが弾ける時までに日本経済を事実上支配していたMiti(昔の通商産業省)。色んな意味で、あの省は西洋であまり人気者ではなかったので、あれは昔の権力付きで改めて導入されたら、日本が外国からまたかなり批判を浴びることになるだろう。ただ、外国からだけではないに違いない。日本経済も最近結構国際化(日産等)したから、日本の大手企業はそう自発的にまた政府の指令機関に応じることはなかなかないだろう。二つ目、戻って来て欲しくない思い出は共産主義、社会主義の計画経済の典型的な素材である「5年計画」の事である。自民党は正に同じ5年かかる集中改革で日本を「世界で一番企業が活動しやすい」国にしたいと言っている。20年近く失敗を重ねてきた自民党が、そう、なの? 突然そんなことが出来るようになった、突然懲りたの?と訊きたくなる。 しかも突然、世界各地で起きるだろうと思われる、日本の新政策に対しての更なる反応よりも有効的な政策を持っている自信があるだろうか。それは、とても信じがたい。
経済を取り戻す?見せてみなっ・・・

   二つ目、気になる点は、「失われた国民所得の50兆円奪還プロジェクト」。狙いは偉いが、それは民主党だけのせいにしてはいけない、結局自民党のここ23年の政治政策の結果でもあるから。でもそれとは少なくても平行に、日本の赤字、膨大な金額(800兆円前後)に至っている国の借金の返済計画も作って欲しい。先進国の中では日本の借金は、国民総生産の2.3倍以上で圧倒的に一番高い。そして、ここ数週間の自民党の政策発表を見たら、その借金はもっと増えるだろうとの恐れがある。どうりで、だからこそ返済計画について何も指摘していなかったと、分かる。日本はこれで永遠に、永遠に、その「借金の罠」から逃げられないだろうと簡単に推定できる。

   三つ目、気になるポイントは、日銀法の改革である。過去の失敗で懲りて、ドイツで政権を握っている政府は借金を組みたい時には普通の銀行からそれを借りて、その銀行に返済するという原理になっている。平行に連銀(連邦銀行)もあるのだが、連銀は政府、大蔵省の管轄下にある訳ではない.。連銀はあくまでも独立していて、政府の命令を受けることは一切ない。連銀の法律では、こういう風に定められている: 連銀は出来る範囲だけ、政府の政策を応援すべきであるのだが、それは一番大事な役割ではない。1923年、ドイツにあった巨大なインフレ対策はドイツ連銀の「生き甲斐」。言い換えれば、通貨安定は一番重要な狙いである。民間銀行へのお金の供給、紙幣の印刷と制御等などはドイツ連銀(今は欧州中央銀行)の役割である。但し、ドイツ連銀でも、今の欧州中央銀行でも、政府にお金を貸す役割は一切果たしていない。それは、法律で禁じられたりすらしている。この方針はドイツだけでなく、西洋で多くの国にも守られているから。自民党は今正に日銀からお金を貰おうとしている様。そこで言いたい: 要注意、日本よ! 政府が一旦こんな事を始めたら、その連邦銀行がまるでメルヘンの「金を排泄するロバ」の様にに束縛され、無限に絞られる一方になる。そして、日本の国の借金はもっと、もっと増える。いつ、誰がそれをどうやって払い返すことになるだろうか、今から可愛そうに思うしかない。

   気になる項目はまだまだ残っている。四つ目として、「産業競争力会議」の創立計画。日本は資本主義の国で、経済体制は自由経済になっているはずなのに、政府が、戦後みたいに、産業の競争力に介入を始めようとしたら、絶対失敗に終わる。先ず第一に。三菱さん、東芝さん、豊田さんも日立さんも、三井さんも、そう簡単に納得しないだろうと思われる。それらの大手企業の株を持っている田中さんも、加藤さんも小林さんも、僕も反対するであろう。政府、政府の公務員が企業を国営化した後に起きた現象の悪い前例はいっぱいある。第二次世界大戦後、東欧の国々の大手企業はこの事実を長年痛感してきた。共産主義又は社会主義に置かれていた経済機関が成功した例は歴史上あったことない。経済の専門家達のみならず、一般人も分かっているだろうが、遅くても23年前に起きた、共産圏の崩壊以来、経済史の最高の教訓として永遠に残っているはずなのは何かというと、国の機関は企業経営に着手又は介入しない方がいい(中国は特別なケース)というのが当時かなり明確になった。100年以上、ヨーロッパ、アジア、中南米、アフリカでも色んな国々が社会主義経済を試み、成功した例は一つもない。自民党はその新しい介入・指令計画で突然成功すると思っているのなら、それは無知の基で生まれた自信過剰としか言いようがない。

ところで、日本はまたそんな政策を復帰させたら、外資系の日本への資本投資はしずらくなる恐れがある。日本はもう鎖国していないし、この地球も現在何よりもグローバル化されつつあるので、日本はそんな政策を外から許されないとも思われる。実は(自民党が日銀との合意で)日銀が政府の債権を無限に買い取るという計画が公表された時に、新しい日本バッシングが再び始まった。若い世代はその「日本バッシング」という表現が知らないかもしれないが、バブルの時に日本は諸外国に凄く批判されていた。バブルは弾けて、デフレや経済停滞が始まって以来、それはかなり治まっただろうが、また始まりそう・・・。

   残念ながら、気になる項目をもう一つ指摘せずにいられない。それは、日本を色んな分野で「世界一」にしたいという計画。「健康寿命世界一」は100%許される、歓迎すべき計画だが、日本は既にこれを達成しているのではなかった? そうであれば、自民党のこの狙いはあまりにも簡単過ぎるのではないだろうか。いや、健康寿命は一つの例だけに過ぎない。経済、政治、軍事の面でも「世界一」に戻したいとパンフレットで軽くしか書いていないのだが、数週間前に自民党のホームページを調べたら、自民党の議員が石原新太郎スタイルで、明らかに宣言した。日本を世界一の国にしようと・・・。次の事を言う時に大袈裟と言われるかもしれないが、第三次世界大戦には興味をお持ちなのだろうか、ああいう政策を考えている連中は? なぜなら、戦争無しでは、日本は世界一になることはもう一生無理だろうから。アメリカと中国を先頭に、インド、ブラジル、ロシアとその他の競争国は絶対めげないから。なぜ一番になるのが必要なんだろうか。なぜ、他の国と同じく、諸外国との平和たる競争で、自分の国の豊富を増やすだけでは足りないだろうか。この被害妄想的な考え方では、第二次世界大戦前の日本を少し思い出す。あの時も色々理由付けして、東南アジアへの侵略進出を果たした。今はまだまだ全然そこまで行っていないのだが、思想はそこに脱線する可能性がないとも言えない。

   経済改革計画の中で、もう一つの項目は問題を起こしそう。パンフレットの何箇所かで自民党が「法人税の大胆な引き下げ」を呼びかけている。だが、法人税、企業の負担緩和のみを狙っているだろうか? 一般市民の経済的苦労緩和を目指す必要は無いと思っているだろうか。世界一である(!)「労働時間数」、世界一(!)に上る「過労死」、世界一(!)である「自殺率」の防止についても、もう少し神経を注いだ方がいいのではないだろうか。少なくても西洋から判断すればそう思う。

   僕は日本の事を非常に好意的に思っているし、第二の故郷として見なしているからこそ、最後に、経済計画関連について言わずにいられない項目を三つ、ちらっとだけ取り上げたい。その一、「成長するアジア経済圏の取り込みを目指しているとの事・・・。は~い?日本はまた必死に東アジアの成長に貢献をしようとする? それは、80年前にあったことがあって、大失敗で終わっていなかった? その二、「日本の世界最先端のインフラ・システムを輸出」するつもりでいるみたいだが、悪いけど、そんな物は日本に思うほど無い。いくら新幹線の技術は発達しても、市民の住まいに備え付けの暖房すら供給できない日本はその面では世界に貢献する材料が無い。スカイプで僕と通話やる日本人の多くは冬の時に、自分の部屋の中でコートを着て僕と喋っていることが多い。ドイツほど冬が厳しくないのに、日本の方ではコートを着ていて、こちらがTシャツ姿でスカイプ通話に出る。こんな矛盾はない。見る度に、日本は本当に先進国なのかどうかはとても疑わしくなる。 三、日本はサウジアラビア又はその他の中近東の国を占領しない限り、資源大国にならない。そして、レアアースをいくら大量に掘り出しても、資源大国の資格にはならない。なくなりつつある資源の手頃な供給元を探してもいいけれども、世界の規模でこのレアアースの窮屈な捜し求めはとっくに始まっいるので、今から「大国」になりたいという意図が、諸外国、特に隣国とはまたかなりのもめごとを及ぼすのは目に見えている。従って、資源大国になる狙いを最優先とするのではなく、自分の需要をどうやって一番上手く満足出来るかを研究した方が、全てが平和的に終わるのではないかと、思われる。

続く・・・・・

     (次回は「教育を、取り戻す」という項目に対しての見解を発表する。


5 件のコメント:

  1. ロルちゃん、自民党は政権を失うまで20年間失敗を繰り返してきたんじゃなくて
    成功もしないけど、失敗もしないカードを切り続けてたんですよ。特にバブル崩壊後はね。
    ドイツ人から見てどの辺が失敗だったのかな?
    そのとき散々欧州のマスメディアはバカにしてたけど、今ギリシャなどの危機では
    当時の自民党と同じカードを切っています、てかそれしかないんだと思う。今のところ。ちなみに公的資金投入のことです。

    あと日本国民は自民党を選んだんじゃなくて、民主党ではダメだった
    のほうが今回の選挙は近いんだと思います。

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  2. 現在、日本の借金残高は1000兆円を超えてしまいました。国民一人当たり約800万円の借金を抱えていることになります。それなのに政府は歳出を切り詰める積りが無い。まあ、何十兆円も切り詰めなければならないんですが。借金は増えて行くばかりなんだろうと思います。
    日本を世界一の国にしようという話から第三次世界大戦を連想するのはあまりにも突飛過ぎると思います。冷戦の間、第三次世界大戦が起きなかったのは核の抑止力があったからで今でも核の抑止力は働いています。日本を世界一の国にしようというのは経済的、文化的になどという意味であって、アメリカに代わる超大国を目指そうということでないと思います。
    市民の住まいに備え付けの暖房すら供給できないというのにも首を傾げざるを得ません。私の親戚や友人で家に暖房もといエアコンが無い人はいません。ご友人は暖房が無いとのお考えのようですが、大した寒さでもないので節電の為に暖房を使っていないだけかもしれません。ちなみに日本における一般世帯のエアコン普及率は2013年で90.5%だそうです。

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  3. エアコンの世界シェア1位や技術力トップは日本のダイキン工業なのですが・・・

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  4. >kugamuraさま
    勘違いされているようですが国の借金ではなく政府の借金です。そして国民あたり約800万円の債権を持っているのです。国民はお金を貸している方ですよ?

    なぜ軍事力=戦争なのだろうか?先の大戦中、軍隊を持たないルクセンブルクはどうなりましたか?そう、ドイツに占領されました。
    自国を守るために強い軍事力は必須なのです。スイスを見習いたいですね。

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  5. ドイツと日本と一緒にしてはいけないそれと、ロルちゃん、日本のマスコミの影響を受けすぎではないか?

    日銀法改革はどう考えても必須。
    通貨発行権は日本では日銀にしかない。

    バブル崩壊してから物価が下がり続けて、いわゆるデフレって言われる奴ですね。日銀の行動を見れば分かる。騙し騙しに金を刷る程度で、ほとんど金は刷ってない。それが今までの日銀の実態であり、日本を不景気にさせる為に絶対に策を打たない。

    橋元内閣で日銀法変えて、日銀の独立性を認めたらどうなかったか?結局、何も出来なくて悪化するだけ。日銀総裁はいくら失策を続けても責任を取らせるシステムがない。分かり易く言えば、最低限彼らを首輪に掛ける必要があるってだけのことです。それのどこが金を排泄するロバになるのか分からん。

    それと政府の借金って一体、どこの誰の借金でしょうね?曖昧だし、マスコミの謳い文句にやられてません?

    現に、安倍さん、自民党や財務省に増税を押し付けられてしまいましたが、私自身、自民党は支持してませんが、安倍は支持したい。つか現実的に考えても、安倍以外にいない。他が酷すぎるし、

    あと、自民党と安倍内閣を一緒にしない方が良いですね。これは全く別物。

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