腹の虫が治まらない

「ビールが好きで、早くドイツ語を自由自在に喋れるようになりたい。文法は自分で調べるから先生に教えてもらわなくてもいい」と最近新しく出来た生徒さんに言われた。そうか、なるほど、文法知りたくないんだ。あは、まあ、無理の様だけどいいかな、と僕は考えた。しかし文法を教えなくても、進歩はなるべく円滑になるように、長年で築いてきた勉強自体のコツ、あとドイツ語の基本的な枠組みぐらいは教えてあげてもいいんじゃないかとも思って、１回目の高々の30分のレッスン（！）と２回目の高々の30分のレッスン（！）でそれを教えてあげた。すると・・・

生徒がせっかちで、机の下で貧乏譲りでもしていそうでいながら、「いつもそんなもんなんですか、先生の授業は」と不満そうに僕に聞いた。「そんなもんって？」と聞き返したら、「いや、会話をしないということで・・・」。あああーい？会話？なにで会話するの？既存知識はゼロに等しいだろう？語彙はどのぐらいある？文法、決まり文句、言い回し、口語、先生に教えてもらったコツ無しではどうやって会話する訳？

薪無しでは火を起こせない、水無しではお茶を作れない、燃料無しでは車が動かない、投資無しでは財産を増やせない、あと努力無しではそれなりの成果が上がらないと同じ様に、喋れるようになりたければ、会話するのに必要最低限な上記の材料をある程度貯めない限り、一生喋れるようにならない。もう一回：一生喋れるようにならない。勿論、喋れるようになる為には会話をする事自体も非常に大事だが、何も基盤無しではどうすんだよ・・・！、もう、腹の虫が治まらない・・・

ロルちゃんが怒っている

あの生徒は日本人で、ヨーロッパの或る国の或る町の或る大学で今勉強中。専攻は世界情勢の様なもので、これから日本の外交官になりたいと言っている。あんな短気な性格で外交官になったら日本の外交は可哀想！大人になって、考えを直してくれ！僕はともかくこんな非現実的な話で腹が立って仕方がない・・・

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