勿論のことで、批評無しではいられない。但し、ここのブログでも宣伝した様に、僕は2ヶ月毎忙しくなり、今は徹底的な批評をやるには手が回らない。ここの文章を書いているのも、エクセルのマクロがトロトロと裏で動いている合間に書いているだけで、途切れ途切れで続けるしかない。
その上に、回りも忙しいからこそ、今書いているうちにあの本を隣に置き、章毎についての一々の意見も書けない状態にいる。今出来るのが、全体的な感想を吐き出す事だけである。しかも、手当たり次第、つまり、大した順序無しで。それは、ご了承下さい。
- 高々185頁ぐらいでしかできていないにしては、あの本は情報に溢れている。それは悪いと勿論は言っていないが、読み終わったところで実は早速もう一度読みたくなった。批評する為にも、日本語の勉強の為にも。
- 難しい漢字、単語、言い回し、慣用句が多い。時間がないから、さっと読む他なく、知らない表現等の全部をきめ細かく調べようと思ったら、多分来年まで掛かる。従って、趣旨だけで我慢し、大雑把な意味だけ分かれば良いと思って読み通した。
- 最終結果を最初に持ってくる様だが、あの本の全体的な成績として「AA+」を挙げたい、僭越ながら・・・。今から何を言っても、読んで良かったと思うし、他の人にも是非読んでもらいたい。
- なぜ「僭越ながら」を言うかというと、ここみたいな批評を出す権利が一体僕にあるかどうかということで迷っているからである。著者の川口マーン恵美という方は在独暦30年もあるし、高級な教育を受けた他に、本もいっぱい出版した経験や大学教授の資格も持っており、僕という微々たる存在に過ぎない者に何か言われる事は無いと思う、普通は。結局、彼女は日本のWikipediaにすら出ている・・・!但し、幾つかの項目に関しては僕も少しだけ発言できるのでいいと思って・・・。
- 本の中にある章によって、爆笑できたり、やけくそになったり、頷いたり、頭を横の振ったり、顔をしかめたりすること等など、何でもできた。それは言えている。部分的にかなり神経に障る所もある。というか、平気で読み通すことはできない、特にドイツ人としては。
- ところが、もう少し微笑む所が多いと、読み始める前に思った。題名を見たら、生活に於ける10個の分野が直接ドイツと日本の間に分析され、ここは日本の勝ち、ここはドイツの勝ち、というようになっていると期待していた。少なくとも章毎に一つのああいう分野が対象になり、両国間で比べられて、章の終わりに「ここは・・・の勝ちだよ」という様なことになると思っていた。だが、そうは全然なっていない。少なくとも最後の章にはそれがあると思っていたが、無い・・・。
- 最初の80~90頁はこれでちょっと的外れになっていると思う。尖閣諸島まで足を運んだ時の長~い話、福島原発事故のまた長い話、レアーアース、再生可能エネルギーの話も基本的に大事で必要けれども、日本でのその事件、あの事件が起きた時にドイツではどう報道されていたか、ドイツ人はどう受け止めていたかの話は、生活水準を比べるのに相応しくないと思う。勿論、原発事故の後にドイツはどれだけパニックになり、どれだけ必要以上に脱原発を決めたかとか、これでこれからどんな深刻なエネルギー供給問題が起きるかとかは、ドイツの事を知らない人にとっては興味深いかも知れないが、だからと言って、日本の方が住みやすい、ドイツの方が住みやすいとかの結論を下すにはちょっと不満を残らす。
- 本の構成にはどんな不満があっても、頷く所はあまりにも多過ぎたから著者に聞きたい:なぜ貴方、川口マーン恵美さんはドイツに住んでいますか、なぜ本帰国を考えないですか。ご主人、ご親戚、お友達もみんなここにいるからだけの理由でしょうか。いや~、僕は貴方の本を読んだら、「もうこれ以上ドイツに住めない」と熟々思うようになる。必然的!これは、皮肉でもなんでもない!結局、貴方の最終結論、つまり「8勝2敗日本の勝ち」はご尤もだから。今から30年後のドイツはドイツで無くなるに違いない。国内的に(純のドイツに相応しくない)外国人に、国外的にEUの様な国際機関に支配され、元々一つの民族が握っていた地域から(フィリピンかベルギーに似た様なことで)多民族、多文化、多言語の地域に展開していく、他ないからである。もう後の祭り、もう戻せない、終わり!それを意識している人は実に日本に逃げるしかない。
ロルちゃん
返信削除私もこの本を、紀伊国屋で見つけて、少し立ち読みしましたよ〜
面白そうだったけど、買わなかったです(笑)
川口マーン恵美さんは保守系メディア(右翼系とも呼ばれる)のチャンネル桜によく出てますね。そういう意味では、川口さんは保守すなわち日本寄りかも。日本とドイツ?どっちが良いか?どっちでもよい。どちらも世界的に見れば、他の国に比べて、すごく良い国でしょう。吾唯知足。日本人もドイツ人も贅沢すぎる。贅沢な環境にいると、本当の貧しさ・酷さが分からなくなるんだよね。インドなんかでは、貧しさゆえに我が子の足を切断して、わざと身体障害者にさせて物乞いをさせるなんてこともあるらしい。と考えると、私らは何て幸せなんだろうか。
返信削除匿名さま
削除>「どちらも世界的に見れば、他の国に比べて、すごく良い国でしょう。」
そうですね、ハッとさせられました。
日本とドイツにあって、他の多くの国には無いもの、というものごとも文書化して挙げてみたいです。
私はドイツへまだ行ったことがないので、ぜひ生活された方、そしてロルちゃんからお聞きしてみたいなぁ。
私が思うには
・ものごとへの姿勢が真剣で凝っている。丁寧。
・清潔を良しとし、実際に清潔。
・自国の歴史や文化を大切にしている人が多い一方、アメリカナイズしたり(ロルちゃんの過去の動画)、ドイツでも(自国籍にもかかわらず)左派ゲリラなどが大手を振っていて強制力でも世間的にもなかなか批判・排除できないようで。。(これらの点、良い・悪いの二元論は申しません)
ですかね。
その本は読んだことありませんが、「何か嫌だな~」って個人的には思います。まあ、本に対する評価は読んでいない自分にはする資格がないので差し控えますけどね。
返信削除僕も一応ドイツ生活の経験があって、両方の社会についてそれなりに事情を知っていますが、多くの分野で日本がドイツより便利な社会であることは間違いないと思います。だから、この本に書かれていることは、概ね正しいのだと推測します。
ところで、それよりむしろ問題にしたいのは、この最近の日本の風潮・・・。「日本はこんなに素晴らしい国なんだぞ~」「国際的に(具体的には欧米から)こんなに評価されているんだぞ~」。テレビをつけたらこんな番組ばかり。帰国してびっくりです。こんなこと言うと、「おまえば自分の国がきらいなのか!」って怒られそうですが、そうではないです。僕が言いたいのは、自国を愛する心や自国に対する誇りというのは、心のなかに秘めておくくらいでちょうどいいのではないかということです。
この本が自国の外を"知らない(=体感したことのない)"内向き傾向の日本人のためのバイブル(あるいは少なくとも「癒しの種」)にならないことを祈るばかりです。そして、もうひとつ、ロルちゃんが「日本大好き外国人」としてではなく、一人の「批評家(?)」「作家(?)」「文化使節(?)」として皆さんから愛されていることを願うばかりです。
日本はまだまだ西洋より遅れていると思います。優れているのは経済力だけですね。
返信削除改善すれば世界一素晴らしい国になるだろう。
こんにちは 初めて投稿します。
返信削除私は1993~96年まで主にスイスで働いていました。フランスやドイツにも何度も滞在しましたし、職場では英語以外にドイツ語、フランス語でも話していました。 欧州の高い専門性を持った人々と交流した経験から、自分では欧州社会の良さを認識しているつもりです。
確かに、日本の生活に良い点は多いと思いますが、日本が遅れている面もあります。 日本の良い点とドイツ(欧州)の良い点を箇条書きしてみます。
日本の良い点: 治安が良く、清潔である。 食事が旨い。 民間・行政のサービスや対応が親切である。 社会階層の格差が比較的小さい。 大衆文化・大衆経済が発達している。
ドイツの良い点: 物事の理屈や合理性が重視される。 労働生産性が高い。 能力の高い人が高い報酬や社会的地位を得られる可能性が(日本よりも)高い。 女性の社会進出が(日本よりも)進んでいる。
あと、日本では民族的宗教的摩擦が少ないのに対して、ドイツでイスラム系住民との間の軋轢があるのは非常に不幸なことです。
僕も、Mori Sobaさんに共感します。それに追加するかたちで、ドイツの良いところ(日本が遅れているところ)を挙げます。
返信削除・建築、自動車、家電製品、日用雑貨など、工業製品全般のデザインが洗練されていて美しいこと。日本の製品は、性能は良いかもしれませんが、見た目はダサいものが多いと思います。良いデザインのものを買おうと思ったら、かなり特殊なものを探すことになります。
・部屋の暖房がきちんとしていること。ドイツ生活(ヨーロッパ・北米生活)に慣れてしまうと、日本の家は寒くてつらいです。エアコンっていう機械は駄目だと思います。少なくとも、暖房としては。
・語学教育がきちんとしていること。日本では、「英語の授業を英語で行うこと」がニュースになります。日本では、成績優秀な人でさえ、英語が使えるようにはなりません(もちろん幼少期に外国にいたため、外国語ができるという人はいます。しかしそれは教育の成果ではありません)。
ちょっと言わさせてください。フランスに住んで40年になります。建築で言えば、この間も日本人建築家がデザインしたルーブル美術館の分館が会館になりました。そのほか相当の方が知らないところで活躍されています。自動車、日本で作った日本車が一番、日本にはいろいろなデザインのものがあってこれヨーロッパにって来たらというものもあります。家電製品、日常雑貨、くだらないものもありますが、なかなか凝っていて面白いものがあり、日本に行ったとき買ってきます。性能、使いやすさは日本製がGOOD。
削除暖房 ? こんなもの寒くてもどうって事はありません。語学教育 ? 教育してもらうものではなく自分で習得するものでしょう。テープレコーダーくらいしかない時に大学で4年間勉強しましたが、こちらに来て、隣でしゃべっているフランス人の会話が聞き取れませんでした。今は、ラジオもTVも100%近く分かります。自分次第です。来た当初はあこがれてきたものですが、最近は日本のほうが便利で綺麗でとこちらがいやになりました。道路、公共交通機関、トイレ(パリでさがすのはたいへん)が汚い。盗難がおおい、何しろ今は、収穫した果物、養殖の牡蠣まで盗まれてしまうんですから。これもヨーロッパを広げた結果でしょうね。お分かりですね。
こちらにもよところがありますし、日本での生活は経済上の事情もあり常住は難しいので、こちらの良いところだけ利用してゆくのがストレスのないやり方と思っています。
2013年12月15日 0:54に投稿した者です。あなたのご回答に対し、以下の3点について私の意見を述べさせていただきます。
削除(1) 工業デザインについて
あなたは、ルーブル美術館の分館が日本人の設計であることを挙げておられますが、私が問題にしているのは、もっと大衆的なレベルの話をしています。我々が日常、スーパーマーケットや家具店、自動車販売店などで普通に接する大量生産の製品のデザインが、あまり美しくないということを述べているのです。第一級の芸術家、デザイナーのレベルでいいますと、日本人にも大変優れた人がいることは確かです。しかし、大衆的な物品や建築などになると、やはり日本の物はあまり美しくありません。もっとも、最近のMazdaの自動車など、日本製品で美しい形のものを見つけることはできます。しかし、まだまだです。そういった製品がもっと多くの分野で登場しないかぎり、日本の工業デザインのレベルは低いと評価せざるをえません。
(2) 暖房について
自分の家に帰ってきて、どの部屋にいても寒さを感じることなく快適に過ごせるのは、とても得がたいものです。しかし、日本の住宅では、自分の家のうち、特定の部屋だけが暖かく、それ以外の場所については寒いのが一般的です。ですから、高齢者などは、風呂場や廊下などで、急激な温度の変化により、健康を害することがあります。日本は湿気が多いため、通気性を重視しなければならず、家屋の断熱を犠牲にせざるをえない。そういった指摘がしばしばなされます。しかし、それでも、命より大切なものはないということを言わせていただきます。ドイツと同じように、どんなに寒い日でも、自分の家の中はTシャツ一枚で快適に過ごせるような住環境が必要だと思います。湿気によるカビの発生など、それによって生じうる弊害は、「日本の技術力」で解決すべきです。
(3) 語学教育について
「語学教育 ? 教育してもらうものではなく自分で習得するものでしょう」。あなたのこの指摘に全面的に賛成します。日本の語学教師は、そのことをわかっていないのです。ですから、文法ばかりをやるのです。私は、日本の進学校で英語を学んだのですが、教師は、「なぜ、そういう意味になるのか」を理論的に説明しようとしていました。しかし、それは、言語の習得がどういうものなのかについて、本質をまったく理解していないと言うほかありません。あなたがフランス語を習得したのと同じような方法で、日本の子どもたちは英語を習得しなければならないのです。それを手助けするのが、英語教師の任務です。日本の英語教師の大半は、英語ができません。英文を文法的な観点から分解し、理論的に解説すること「しか」できません。そのような「語学教育」は本当の語学教育ではありません。このままですと、日本の語学教育の未来は暗いと言うほかないでしょう。あなたの指摘は大変的を射ていると思っています。例えば、「泳法理論」を明快に解説するだけの水泳のレッスンを想像してみてください。そのようなレッスンによって水泳を習得することはできませんね。それと同じです。文法の解説が不要だとはいいません。文法「も」大切です。しかし、もっと大切なものがあるのではないか、ということです。He play tennis. この文がなぜ間違っているのか。「主語が三人称なので、playの語尾にsをつけなければならない」。このように説明することは、大切なことです。しかし、もっと大切なのは、「He plays tennis. こちらのほうが自然だよね」。このような「感覚」を身につけることです。
この本は読んだことありませんが、豆知識をちょっと
返信削除こういう本のタイトルは著者ではなく編集者が決めるのです。本が売れるように、本を手にとってもらえるように。だから、本のタイトルと内容が一致していないとあれこれ考えても意味は無いかもしれません。
単にマーケティングで決めただけのタイトルなんですから。
読んでみましたけど、別に単純に勝ち負けでどうのこうのとは言っていないような。
返信削除日本人、特に左翼の人の現実離れしたドイツ礼賛への異議・・という感じですかね。
個人的にはロルちゃんの批評の続きを早く読みたいです。
あと、実現不可能とは思いますが、川口さんとロルちゃんの対談が実現したら・・・と
思ったりして。
『在独暦30年もあるし、高級な教育を受けた他に、本もいっぱい出版した経験や大学教授の資格も持っており、僕という微々たる存在に過ぎない者に何か言われる事は無いと思う、普通は。結局、彼女は日本のWikipediaにすら出ている・・・!』
削除ロルちゃん、謙虚すぎる!素直すぎる!ドイツ人なのに!(笑)
彼女の本読みましたけど、ピアノ科で音楽留学したのに、ピアノで生活できなくて、でもちょっと頭がよかったので30年住んだ経験談とドイツ人の旦那さんから聞いた話と、得意なドイツ語で情報収集して、新聞やメディアの話を上手くミックスして、それなりの話にしているだけみたいな感じです。
日本て、「客員教授」ってずいぶん簡単になれるんですよ。ドイツでは考えられませんけど。
知り合いの方の話ですが、日本の会社の技術者がドイツのTUと技術協力することになった時に、「ドイツでビザを取るのが面倒なので、とりあえずTUの客員教授にしてビザ出してください」と日本の会社が言ったら、TUから呆れられたうえ、猛烈に抗議されたそうです。
ドイツではそんな簡単に教授の肩書なんてもらえないからです。
彼女も原発とかエネルギー政策とか国際情勢とか言ってますが、そういう分野を大学などで専門に勉強した人ではありません。
ちなみに、Wikipediaは自分で自分のこと書けますよ(笑)
私もそろそろドイツ語圏に15年くらいになります。
ドイツ人と結婚してこちらで仕事していますけれど、
私と同じ立場の人達は大体、彼女のような発想で本を書いて日本で売ろうというなんて、かわいそうだけど「本業(音楽)では仕事につけなかったんだろうなぁ」と思ってます・・・。